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名古屋地方裁判所 昭和62年(ワ)4329号 判決 1992年7月24日

名古屋市瑞穂区堀田通七丁目九番地

原告

フルタ電機株式会社

右代表者代表取締役

古田幹雄

右訴訟代理人弁護士

塚田昌夫

右輔佐人弁理士

松波祥文

佐賀市大財北町一番一号

被告

株式会社戸上電機製作所

右代表者代表取締役

戸上一

右訴訟代理人弁護士

吉武賢次

神谷巖

右輔佐人弁理士

玉真正美

主文

一  被告は、原告に対し、金七一七万八七二四円及びこれに対する昭和六三年一月二二日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

二  原告のその余の請求を棄却する。

三  訴訟費用は、これを六分し、その五を原告の負担とし、その余を被告の負担とする。

事実

第一  当事者の求めた裁判

一  請求の趣旨

1  被告は、原告に対し、金四五〇〇万円及びこれに対する昭和六三年一月二二日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

2  訴訟費用は被告の負担とする。

二  請求の趣旨に対する答弁

1  原告の請求を棄却する。

2  訴訟費用は原告の負担とする。

第二  当事者の主張

一  請求原因

1  原告は、次の特許権(以下これを「本件特許権」といい、その特許発明を「本件発明」という。)を有する。

発明の名称 海苔調合液の濃度制御用表示盤

出願日 昭和五六年四月三〇日

公開日 昭和五七年一一月九日

公告日 昭和六〇年一月一七日

登録日 昭和六一年一一月一三日

登録番号 第一三四六五九九号

2  本件発明の特許出願の願書に添付した明細書(以下「本件明細書」という。)の特許請求の範囲の記載は、別紙特許公報の特許請求の範囲欄記載のとおりである。

3  本件発明の構成要件は、次のとおりである。

(一) 前提部分

(1) 海苔原料と水を調合した海苔調合液の濃度を検出する濃度検出手段

(2) 検出した濃度が設定値より濃い場合には、当該海苔調合液に水を補給する給水手段

(3) 検出した濃度が設定値より淡い(薄い)場合には、当該海苔調合液の調整槽から水を減少する排水手段

(4) 右(1)ないし(3)からなる海苔調合液の濃度制御方法(システム)

(二) 特徴部分

(1) 所要の制御盤面に、切換スイッチによって濃度の設定値と現在値のいずれかを常時指示するパネルメーターを設けたこと

(2) 設定値を調節するダイヤルを設けたこと

(3) 設定値に対する現在値の比較の度合を表示する濃度表示装置を設けたこと

(4) 異常を報知する警報ブザーを設けたこと

(5) 右(1)ないし(4)からなる海苔調合液の濃度制御用表示盤であること

4  本件発明の作用効果は、次のとおりである。

(一) 設定値に対する海苔調合液の濃度調整を簡単にし、濃度制御の自動化や濃度調整作業の省力迅速化等に貢献する。

(二) 特に、作業者が、制御盤面を一見するだけで海苔調合液の濃度制御状態を視覚的に観察できる。具体的には、濃淡の程度を複数段階的にランプ表示する手段や海苔調合液の濃度を三桁程度の数字で表示するデジタルタイプや指針タイプのパネルメーターで、視覚的に、数字や針の指示という容易に視認可能な表示手段で、設定値や現在値の把握ができる。このため、濃度調整作業が簡単となった。

(三) これは、時々刻々と変化する性状の生海苔を対象とする海苔製造現場において、作業者が機器の調整や濃度の調整等をする場合に、顕著に有用かつ利便である。

5  被告は、昭和五七年四月頃から、別紙イ号物件の図面及び説明(以下「別紙説明書」という。)記載の海苔濃度調整器B形本体(以下「イ号物件」という。)を組み込んだ同戸上式電子自動海苔濃度調整器・TNS-B形(以下「被告製品」という。)を製造販売した。

6  本件発明と被告製品を対比すると、次のとおりである。

(一) 前提部分の構成要件

被告製品は、以下のとおり、本件発明の前提部分の構成要件(前記3(一)の(1)ないし(4))をすべて充足している。

(1) 海苔原料と水を調合した海苔調合液の濃度を検出する濃度検出手段であるセンサー12を有する。

(2) 検出した濃度が設定値より濃い場合に当該海苔調合液に水を補給する給水手段である給水ポンプ2、給水ホース6及び給水ノズル4を有する。

(3) 検出した濃度が設定値より淡い(薄い)場合には、当該海苔調合液の攪拌(調整)槽5から水を減少する排水手段であるストレーナー8付き排水ポンプ7及び排水ホース9を有する。

(4) 右(1)ないし(3)からなる海苔調合液の濃度制御方法を採用している。

(二) 特徴部分の構成要件

イ号物件は、以下のとおり、本件発明の特徴部分の構成要件(前記3(二)の(1)ないし(5))をすべて充足している。

(1) 制御盤面に、濃度表示切換スイッチ18によって濃度の設定値と現在値のいずれかを常時指示するデジタル表示器(パネルメーター)17を設けている。

(2) 設定値を調節するダイヤル式の濃度調整つまみ19を設けている。

(3) 設定値に対する現在値の比較の度合を五段階で表示する濃度表示ランプ16を設けている。

(4) 異常を報知する警報ブザー24を設けている。

(5) 右(1)ないし(4)からなる海苔調合液の濃度制御用表示盤である。

(三) 作用効果

イ号物件の作用効果は、前記4の本件発明の作用効果と同じである。

(四) 以上のとおりであるから、イ号物件は、本件発明の技術的範囲に属する。

7  原告は被告に対し、本件特許権の公開日の後の昭和五八年一月一〇日到達の書面で、特許法六五条の三第一項前段所定の警告をしたが、被告は、右警告後も被告製品の製造販売を継続した。

8  被告は、前記7の警告後本件特許権の公告日までに五〇〇〇台を下回らない被告製品を製造販売したが、その販売価格は被告製品一セット当たり三五万円を下回らず、そのうち本件発明の前提部分の構成部品の価格は一セット当たり五万円を上回らないので、イ号物件の一セット当たりの価格は三〇万円を下回らない。そして、イ号物件の販売価格に対する実施料率は、五パーセントが相当である。

したがって、原告が被告に対して請求できる補償金の金額は、次のとおり七五〇〇万円を下回らない。

5,000(台)×300,000(円)×0.05=75,000,000(円)

9  よって、原告は、被告に対し、前記8の補償金の一部請求として、四五〇〇万円及びこれに対する本件訴状送達の日の翌日である昭和六三年一月二二日から支払済みまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払を求める。

二  請求原因に対する認否

1  請求原因1、2、5及び7の事実は認める。

2  同3、4、6、8及び9は争う。

三  被告の主張

1  間接侵害の不成立

本件発明の前提部分の構成要件(3)の「調整槽」とは、海苔調合機と海苔抄機の原料タンクの間に設置された海苔調合液の濃度調整槽であり、本件発明は、このような濃度調整槽を用いて海苔調合液の濃度制御を行う方法であることを前提条件とするものである。これに対し、被告製品は、海苔調合機と海苔抄機の原料タンクとの間にこのような濃度調整槽を配置しないで海苔調合液の濃度制御を行う方法においても使用できるものであるから、本件発明の実施にのみ使用するものではない。したがって、本件特許権についての間接侵害は成立せず、特許法六五条の三第四項で準用する同法一〇一条二号に該当しない。

2  出願前の公開による権利の喪失

補償金制度は、公開制度(特許法六五条の二以下)が導入されたことに伴い、発明の早期公開の代償として認められたものであるから、特許法六五条の二の規定による公開とは無関係に出願前に発明を実施した製品を販売して発明の内容を一般に広く公開した者は、補償金請求権を放棄したものと考えられ、補償金を請求する権利を有しないというべきであるところ、原告は、本件特許権の出願前に本件発明を実施した製品(DC-一型)を製造販売し、本件発明を出願前に公開したのであるから、補償金請求権を有しないというべきである。

3  権利の濫用

原告は本件特許権の出願前に本件発明を実施した製品(DC-一型)を広く販売していたのであるし、また、武井電機工業株式会社は本件発明と同一の構成の製品「ADR二〇〇自動濃度調整機」を本件特許権の出願前の昭和五五年九月一九日に合名会社大坪鉄工所に公然と販売したのであるから、本件特許権は、出願前に公然と実施されていたものと同一である。したがって、本件特許権は無効とされるべきものであり、このような明確な無効理由を有する権利に基づいて補償金を請求することは権利の濫用として許されない。

4  補償金額の算定について

(一) 販売数量

被告が原告から警告を受けた昭和五八年一月一〇日から本件特許権の公告日の前日の昭和六〇年一月一六日までの間に販売した海苔濃度調整器の数量は、昭和五八年一月分及び昭和六〇年一月分を日割計算でそれぞれ四三台及び二〇台として計算すると、合計一四四一台である。そして、このうち、四四台は、設定値を表示するパネルメーターと現在値を表示するパネルメーターの二個のパネルメーターを有するもので、本件発明の技術的範囲に全く属しないものであるから、被告製品の販売数量は一三九七台である。

(二) 販売価額

被告製品は別表(海苔濃度調整器の部品構成一覧)のとおり概略六三点の部品(ただし、これらの部品の中には、更に細かい複数の部品からなっているものがある。)によって構成されている(その全体の販売価額は二四万四〇〇〇円である。)が、そのうち本件発明の特徴部分の構成要件に対応するものは別表の1の六点のみであり、補償金請求の対象となる部分は右六点の合計販売価額の一万八三五〇円である。

(三) 実施料率

本件発明は、海苔濃度調整器に切替スイッチによって、濃度の設定値と現在値のいずれかを常時指示するパネルメーターを設けて一つのパネルメーターで済むようにしたという簡単なものにすぎないのであるから、その実施料率は多くとも三パーセントを超えない。

(四) 寄与率

本件発明の要部は、海苔濃度調整器に切替スイッチによって濃度の設定値と現在値のいずれかを常時指示するパネルメーターを設けて一つのパネルメーターで済むようにしたというものにすぎないところ、被告は本件特許出願当時設定値と現在値をそれぞれ個別に表示する二つのパネルメーターを設けた製品を製造していたのであるから、被告製品における本件発明の寄与率は、二個のパネルメーターを一個に削減することのコスト削減効果だけであり、パネルメーターを一個減らして見にくくなったマイナス面を総合すると、多くとも一〇分の一と考えるべきである。

四  原告の反論

1  被告の主張1について

本件発明における「調整槽」とは海苔調合液の濃度を調整する機能を有する槽すなわちタンクを意味するものであるから、海苔抄機の原料タンクも右「調整槽」に含まれるものである。本件発明では、海苔調合液の濃度検出装置(濃度センサー)が単体の調整槽の中に設けられようが外に設けられようが、また、抄機の原料タンクへの途中に設けられようが任意とされており、本件発明は、右濃度検出装置が原料タンクを含む調整槽の内外の適所に設備されるすべての制御方法を包含したものである。

また、被告製品は、海苔製這造の加工分野で、海苔調合液の濃度を調整するために、本件発明の前提部分と同一の方法で使用されることを前提として、海苔製造業者に販売されているのであるから、間接侵害とならない旨の被告主張は根拠がない。

2  同2及び3について

原告は、本件出願前の昭和五五年一一月二九日に愛知県知多郡美浜町大字奥田の石川衛方で本件発明の技術的効果を確認するための試験を行ったことがあるが、この事実に基づいて特許法三〇条一項の適用を受けた特許出願をし、本件特許権が成立したのであるから、本件特許権には無効理由は全くない。

3  同4について

(一) 海苔製造業者数は全国で一万六〇〇〇を下回らず、本件発明のような機械はその六割程度(約一万)の業者へ納入されており、被告のシェアはその半分と推測されるのであるから、被告製品の販売台数は五〇〇〇台を下回らないと考えられる。

(二) 被告製品は本件発明の技術的思想とその構成をそのまま取り込んで製品化されたものであるし、被告がイ号物件を構成すると主張する六点の部品は、被告製品に必要不可欠な部品で、被告製品全体と密接不可分に結合しているのであるから、補償金の算定に当たっては、右六点の価額のみを基準とするのではなく、被告製品全体の価額を基準とすべきである。

(三) 本件発明は技術的にも営業的にも海苔製造業界で従前類例を見ない画期的な技術思想に基づく発明であるところ、海苔加工機械の分野における標準的な実施料率は一〇パーセントであり、また、食品機械についてはイニシャルペイメント有りの場合でも実施料率は六パーセントが中央値であるから、イニシャルペイメントのない本件については五パーセントは下らない。

(四) 本件発明により、経験や勘を有しない者でも海苔濃度調整の作業を簡易、迅速に行えるようになり、海苔製造業界でこの種の機器が飛躍的に普及した。このように、本件発明は画期的なもので、これにより海苔調合液の濃度調整システムとしての付加価値が飛躍的に高められたのであるから、その製品への寄与率は一〇〇パーセントというべきである。

第三  証拠

証拠関係は、本件訴訟記録中の書証目録及び証人等目録記載のとおりであるから、これらをここに引用する。

理由

一  請求原因1、2、5及び7の事実は当事者間に争いがない。

二  右の事実と証拠(甲第二一号証)によると、本件発明は請求原因3の(一)及び(二)記載のとおりの構成要件からなるものであることが認められる。

三  前記一の事実並びに証拠(甲第一九号証、原告代表者本人)及び弁論の全趣旨によれば、請求原因6の事実を認めることができる。

被告は、本件発明の前提部分の構成要件(3)の「調整槽」とは、海苔調合機と海苔抄機の原料タンクの間に設置された海苔調合液の濃度調整槽である旨主張するところ、証拠(甲第二一号証)によれば、確かに、本件発明の前提部分は海苔原料を水と調合して海苔抄きを行う際に当該海苔調合液の濃度を調整する方法であるから、「調整槽」は海苔調合機と海苔抄機の間に設置されることが多く、本件明細書の発明の詳細な説明の中にもそのような実施例が示されていることを認めることができる。しかしながら、右証拠によれば、本件明細書の記載において、「調整槽」の設置位置、形状等やそれが他の機能を有しない単体の物であるべきことなどの限定はされておらず、かえってその発明の詳細な説明の第7図に関する記載においては、海苔抄機の原料タンクが同時に「調整槽」である実施例が示されていることを認めることができるのであるから、結局、本件発明の「調整槽」とは、海苔調合液の器でその内部の海苔調合液の濃度を制御する機能を有するものであれば足り、それが調整槽以外の機能を併有しない単体のもので海苔調合機と海苔抄機の間に設置されるものであることは必要ではないと解するのが相当である。したがって、被告の右主張は採用することができない。

以上のとおりであるから、イ号物件は、本件発明の構成要件をすべて具備しているものであり、その技術的範囲に属するものというべきである。

四  ところで、被告は、原皆は本件発明を出願前に公開したので補償金請求権を有しない旨主張するが、前記一の事実並びに証拠(甲第一九号証、原告代表者本人)及び弁論の全趣旨によれば、原告は、本件特許権の出願前の昭和五五年一一月二九日、愛知県知多郡美浜町大字奥田の石川衛方で本件発明の技術的効果を確認するための試験を行ったことがあるけれども、右試験から六か月以内の昭和五六年四月三〇日に、特許法三〇条四項所定の手続により、同条一項の適用を受けて本件特許権の出願をし、適法に本件特許権を取得したものであることを認めることができる(なお、原告が本件特許出願前に本件発明を実施した製品(DC-一型)を製造販売したことを認めるに足りる証拠はない。)。そして、発明の新規性の喪失の例外について定める同条項の規定が適用される結果、本件発明は前記実験により特許出願前に日本国内において公然実施をされるに至らなかったものとみなされるのであるから、原告が右実験をしたことにより、特許法所定の出願公開の効果として特許出願人に認められるべき補償金請求権が原告に認められなくなると解する理由はないというべきである。

五  さらに、被告は、本件特許権には明確な無効理由があるのでこれに基づく請求は権利の濫用である旨主張する。しかし、原告主張の無効理由のうち、原告が本件特許権の出願前に本件発明を実施した製品(DC-一型)を広く販売していた事実を認めるに足りる証拠がないことは前記のとおりである。また、被告は、武井電機工業株式会社製のADR二〇〇自動濃度調整機が本件発明と同一の構成の製品であり、かつ、本件特許権の出願前に公然と販売されていた旨主張するが、証拠(乙第三九号証)によれば、ADR二〇〇自動濃度調整機は、海苔抄機へ送る海苔調合液の濃度を一定にするために、濃い目の海苔調合液を送り込んでこれを設定した濃度に薄めるように追加する水の量を自動的に調整するという構成のものであることが認められ、これは、本件発明が前提とする構成が前記認定のとおり検出した濃度の濃淡に応じて給排水するというものであるのと明らかに異なるものであるから、この点に関する被告の主張も採用することができない。

六  以上のとおりであるから、原告は被告に対し、警告のされた日の翌日である昭和五八年一月一一日以後本件特許権の出願公告がされた日の前日である昭和六〇年一月一六日までの期間(以下「本件期間」という。)中に被告が本件発明を実施したことにつき、本件発明の実施に対し通常受けるべき金銭の額、すなわち、いわゆる通常実施料の額に相当する額の補償金の支払を請求することができる(特許法六五条の三第一項)。そこで、以下右の補償金の額について検討する。

1  前記一の事実と弁論の全趣旨によれば、被告製品は、採取した海苔原藻を切断し、洗浄し、脱水する海苔混成機及びこれによって得られる切海苔に水を加えて調合する海苔調合機と、濃度調整された海苔調合液を抄いて紙片状の海苔を形成する海苔抄機との間において、海苔調合液を貯溜する撹拌槽、濃度調整用の水槽等と一体となって海苔調合液の濃度調整を行うものであること、また、被告製品は、イ号物件、給水ボンプ、給水ノズル、給水ホース、ストレーナー付き排水ボンプ、排水ホース及びセンサーから構成され、これらの各装置が連動して海苔調合液の濃度調整作業を遂行するものであること、そして、イ号物件は本件発明の実施部分(以下「侵害部分」という。)とその余の部分が一体となって、被告製品の制御盤として機能するものであることを認めることができるところ、右事実によれば、侵害部分ないしイ号物件は、被告製品全体と、機能上も、構造上も、また、商品価値の面でも密接に関連し事実上結合した関係にあり、被告製品全体の中において不可分の構成部分であるということができる。

ところで、本件発明の実施に該当するのは被告製品全体ではなく、それに組み込まれたイ号物件のうちの侵害部分であるから、本件発明の実施行為となるのは侵害部分の販売であって、被告製品のうち侵害部分以外の部分の販売は本件発明の実施行為となるものではない。したがって、通常実施料の額を算定する場合には、本来は、被告製品全体の販売価額ではなく、侵害部分の販売価額を基準とし、これに実施料率を乗じる方法によるべきものである。しかしながら、前記のとおり侵害部分は被告製品に組み込まれて一体不可分のものであり、かつ、後記認定のとおり、販売は被告製品単位でされているのであるから、このような場合には、まず被告製品全体の販売価額を基準とし、これに、侵害部分の寄与度ないし利用率を勘案して相当と認められる割合を乗じて侵害部分の販売価額に相当する額を求め、これに実施料率を乗じる方法を採ることが相当というべきである。

なお、被告は、侵害部分の販売価額をその構成部品六点の合計販売価額である一万八三五〇円と解すべきである旨主張する。しかし、侵害部分は前記のとおり被告製品に組み込まれて機能上も構造上も一体不可分のものであるから、被告製品全体の構成の中で、侵害部分はその構成部品の販売価額の合計額を超える価値を有するに至っているものと解するのが相当であり、被告の右主張は採用することができない。

もっとも、侵害部分の販売価額を求めるに当たり被告製品の販売価額に乗じるべき前記相当の割合を認定する際には、侵害部分が被告製品の商品価値ないし顧客吸引力に及ぼす効果の程度等のいわば質的要素に加えて、侵害部分を構成する部品の販売価額の合計額も、総合的に考慮すべき事項に含まれると解するのが相当である。

2  販売価額

(一)  証拠(証人牟田博文、同木下和也)及び弁論の全趣旨によれば、被告製品は、本体及び付属部品を含むセットで販売され、その販売価額は一セット当たり二四万四〇〇〇円であったことを認めることができる。

この点に関し、原告は、被告製品の販売価額は一セット当たり三五万円を下回らない旨主張し、証拠(証人牟田博文)によれば、被告製品の小売価額は三五万円程度であったことが認められるけれども、証拠(証人牟田博文、同木下和也)によれば、被告装置が被告から海苔製造業者に直接販売されることはほとんどなく、被告は販売店に対して卸売価額二四万四〇〇〇円で販売し、右販売店が海苔製造業者に対して三五万円程度で販売していたことが認められるのであるから、被告が原告に支払うべき補償金の額の算定の基礎となる販売価額は、被告が販売する価額である二四万四〇〇〇円を採用するのが相当である。

(二)  そこで、右の被告製品の販売価額に基づき侵害部分の販売価額に相当する額について検討する。

(1) 証拠(甲第一九号証、第二一号証、原告代表者)及び弁論の全趣旨によれば、従来、海苔調合液の濃度調整は熟練者の目視観察等による人為的な濃度調整作業によっていたが、その後、いったん調合した海苔調合液を攪拌し、水切、脱水自在な計量器を介して循環させた後、当該計量器に残存した濃縮海苔の重量を検出し、これにより海苔調合液の濃淡度合を検査し、ひいては、設定値(基準値)に対する海苔調合液の濃度調整を確保する方法が提供されるに至ったこと、更にその後、海苔調合液の濃度をセンサー等により検出し、その結果に応じて給排水することにより設定値に対する濃淡度合の調整を自動的に行う濃度制御方法が提供されるに至ったこと、本件発明は、後者の濃度制御方法を前提とし、その制御が簡易迅速に行えるような構成の濃度制御用表示盤を提供することによって、海苔調合液の濃度調整の自動化、省力化等に貢献しようというものであること、本件発明は、切換えスイッチにより濃度の設定値又は現在値のいずれかを常時指示するパネルメーター、設定値を調整するダイヤル、設定値に対する現在値の比較の度合いを表示する濃度表示装置及び異常を報知する警報ブザーを配置したことを特徴とするものであるが、これらの濃度調整に関する構成は、濃度制御用表示盤の特徴となる最も重要な要素であり、イ号物件においても、右各構成のほかに表示盤面上にあるのは、電源表示ランプ、電源スイッチ、ポンプスイッチ、ブザースイッチ、ポンプテストスイッチ、扉ハンドル及び型式等表示板という当然備えられるべきものだけであることを認めることができる。

右認定の事実によれば、侵害部分は、イ号物件において最も重要なものであり、商品価値の大半はこれに負うものであるということができる。

(2) 他方、前記認定のとおり、被告製品の販売価額は二四万四〇〇〇円であるところ、弁論の全趣旨によれば、このうち侵害部分を構成する部品は別表の1の六点であり、その合計販売価額は一万八三五〇円で、全体の販売価額の七・五パーセントであること、また、侵害部分を含むイ号物件の合計販売価額は一六万七三五〇円で被告製品全体の六八・六パーセントであり、その余の付属品の合計販売価額は七万六六五〇円で同三一・四パーセントであることを認めることができる。

(3) 右(1)及び(2)の事実を総合考慮すると、侵害部分の販売価額に相当する額は、被告製品全体の販売価額二四万四〇〇〇円の六〇パーセントに相当する一四万六四〇〇円と解するのが相当である。

3  販売数量

(一)  証拠(乙第一号証、第五号証、第六号証ないし第一〇号証、証人牟田博文、同木下和也)及び弁論の全趣旨によれば、次の事実を認めることができる。

(1) 被告はTNS形の海苔濃度調整器を昭和五八年一月に六三台、同年二月ないし昭和五九年一一月に合計一三五四台、同年一二月に二四台、昭和六〇年一月に三九台それぞれ販売した。

(2) 被告は、昭和五九年一〇月頃から、本件発明につき近く出願公告がされる見込みとなったこと、営業面からのモデルチェンジの要請などを考慮して、イ号物件の構成をパネルメーターを二個にしてそれぞれ海苔調合液の濃度の設定値及び現在値を常時示すように変更することとし、従来の被告製品(TNS-B形)と区別してこれをTNS-B一形と称することとした。そして、従来の構成のイ号物件の製造を中止し、在庫の被告製品についてはそのイ号物件を右のように改造し、既に特約店に卸売した被告製品についてはそれに組み込まれたイ号物件をパネルメーターが二個の表示盤と交換するという作業を進め、これらを同年一一月末日までに終えた。

(二)  前記(一)で認定した事実によれば、本件期間中に被告が販売したと認められる被告製品は、昭和五八年一月に販売した六三台のうち同月一一日以降に販売したもの及び同年二月ないし昭和五九年一一月に販売した一三五四台というべきである。ところで、昭和五八年一月一一日ないし三一日に販売した台数については、その具体的な台数を明らかにし得る証拠はないので、一月分の販売台数六三台を日割りで按分して確定することが相当であるところ、証拠(証人木下和也)によれば、被告会社においては昭和五八年当時一月一日ないし三日は正月休業日であったことが認められるのであるから、同月一一日ないし三一日の販売台数は次のとおり四九台と算定することができる。

<省略>

したがって、本件期間中の被告製品の販売台数は合計一四〇一台というべきである。

4  実施料率

(一)  証拠(甲第二号証、乙第一五号証、原告代表者本人)及び弁論の全趣旨によれば、食品機械等の金属以外の加工機械(特殊産業用機械)とその製造技術の分野においては、昭和四三年から昭和五二年までの間のいわゆるイニシャルペイメントがない場合の実施料率のデータ一三一件についてみると、最頻値五パーセント、中央値六パーセント、平均値六・一五パーセントであったこと、食料品とたばこ及びそれらの製造技術の分野においては、右同様のデータ一二四件についてみると、最頻値二パーセント、中央値三パーセント、平均値三・一九パーセントであったことを認めることができる。

(二)  他方、証拠(甲第一九号証、乙第八号証ないし第一四号証、第一六号証の一ないし三、第一八号証、第一九号証、第二七号証、第四三号証ないし第四五号証、証人牟田博文、同木下和也、原告代表者)及び弁論の全趣旨によれば、次の事実を認めることができる。

被告は、昭和五五年五月一七日ないし一九日に開催された第一回柳川海苔まつりに海苔製造機械業界で初めての自動海苔濃度調整器を展示、実演し、好評を得て、同年九月から、TNS-A形の自動海苔濃度調整器を販売した。更に、その改良型のTNS-A一形も昭和五六年二月頃までに販売が開始されたが、右機器は、本件発明の前提部分の要件を満たすものであった上、同特徴部分に対応する構成をみても、パネルメーターは設けられていなかったものの、設定値を調節するダイヤル、設定値に対する現在値の比較の度合いを表示する「濃過」、「濃」、「良」、「良」、「薄」及び「薄過」の六段階の表示灯からなる濃度表示装置並びに異常を報知する警報ブザーを備える海苔調合液の濃度制御用表示盤を有するものであった。さらに、被告は、昭和五六年五月一六日ないし一八日に開催された第二回柳川海苔まつりにTNS-A一形を展示する一方、表示盤に海苔調合液の濃度の設定値及び現在値をそれぞれデジタル表示する二個のパネルメーターを設けた様式の自動海苔濃度調整器の展示、実演も行った。右の新型の機器は、被告が昭和五五年一二月頃から昭和五六年三月頃にかけて開発したものであった。そして、同海苔まつりには原告が本件発明の実施品であるDC-一型(フルタのデンシコ海苔濃度安定器)を展示していたほか、他のメーカーのパネルメーター付きの自動海苔濃度調整器も展示、実演されていた。その後、被告は、昭和五七年四月頃から被告製品を販売したが、被告製品のパネルメーターを前記展示、実演したものとは異なり一個にしたのは、原告ら他のメーカーの製品がパネルメーター一個のものであったので、同様のものとして生産コストを下げて競争力をつけることを考慮したためであった。なお、被告は、昭和五九年一二月以降は、被告製品に替えてパネルメーターが二個のTNS-B一形を販売するに至った。

右の事実によれば、被告は、本件特許権の出願日より前に、特徴部分の構成要件(1)を除き本件発明の他の構成要件をすべて満たす被告のTNS-A一形を販売する一方、濃度の設定値と現在値をそれぞれ常時指示するパネルメーター二個を設けたものも開発していたのであるから、被告が本件発明を実施することによって得るメリットは、パネルメーターを二個から一値に減らすことによってもたらされるもののみであったということができる。

(三)  以上の事実を総合すると、本件発明の実施料率は三・五パーセントとするのが相当である。

5  以上のとおりであるから、補償金額は、次のとおり、イ号物件の販売価額と認められる一四万六四〇〇円にその販売台数一四〇一台と実施料率三・五パーセントを乗じた実施料相当額七一七万八七二四円である。

146,400(円)×1401(台)×0.035=7,178,724(円)

七  結論

よって、原告の本訴請求は、七一七万八七二四円及びこれに対する本件訴状送達の日の翌日であることが記録上明らかな昭和六三年一月二二日から支払済みまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払を求める限度において正当であるのでこれを認容し、その余は理由がないので棄却することとし、訴訟費用の負担につき民訴法八九条、九二条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 瀬戸正義 裁判官 後藤博 裁判官杉原則彦は転補のため署名押印をすることができない。 裁判長裁判官 瀬戸正義)

<12>特許公報(B2) 昭60-1870

<51>Int.Cl.4A 23 L 1/337 識別記号 103 庁内整理番号 C-7236-4B <24><44>公告 昭和60年(1985)1月17日

発明の数 1

<54>発明の名称 海苔調合液の濃度制御用表示盤

<21>特願 昭56-66317 <65>公開 昭57-181675

<22>出願 昭56(1981)4月30日 <43>昭57(1982)11月9日

特許法第30条第1項適用 昭和55年11月29日付、愛知県知多郡美浜町大字奥田字南大西47番地、石川衛氏海苔作業場における立会い試験

<72>発明者 古田武雄 名古屋市瑞穂区堀田通7丁目9番地

<71>出願人 フルタ電機株式会社 名古屋市瑞穂区堀田通7丁目9番地

<74>代理人 弁理士 松波祥文

審査官 佐伯裕子

<30>参考文献 特開 昭47-22770(JP、A) 特開 昭48-51665(JP、A)

特開 昭53-158274(JP、A)

佐賀新聞(佐賀新聞社発行)昭55.9.22号

海苔タイムス(全国海苔貝類漁業協同組合連合会)昭55.10.11号 p、2

<57>特許請求の範囲

1 海苔原料と水を調合した海苔調合液の濃度を検出し、検出した濃度が設定値より濃い場合には、当該海苔調合液に水を補給し、また検出した濃度が設定値より淡い場合には、当該海苔調合液の調整槽から水を減少すべく構成した海苔調合液の濃度制御方法において、所要の制御盤面に、切換スイツチによつて濃度の設定値と現在値のいずれかを常時指示するパネルメータと、設定値を調節するダイヤルと、設定値に対する現在値の比較の度合を表示する濃度表示装置と、異常を報知する警報ブザーを夫々配置構成したことを特徴とする海苔調合液の濃度制御用表示盤。

2 特許請求の範囲第1項に記載の海苔調合液の濃度制御用表示盤において、パネルメータはデジタル表示とするもの.

3 特許請求の範囲第1項に記載の海苔調合液の濃度制御用表示盤において、調節ダイヤルはボテンシヨンメータを操作するもの.

4 特許請求の範囲第1項に記載の海苔調合液の濃度制御用表示盤におい御、濃度表示装置は濃度が「濃過」、「濃」、「良」、「淡」、「淡過」の各表示灯からなるもの.

5 特許請求の範囲第4項に記載の海苔調合液の濃度制御用表示盤において、「濃過」、「淡過」の表示灯の点灯に警報ブザが連動するもの.

6 特許請求の範囲第4項に記載の海苔調合液の濃度制御用表示盤において、「濃過」、「濃」の表示灯の点灯は海苔調合液に水を補給しているときとし、「淡」、「淡過」の表示灯の点灯は海苔調合液の調整槽から水を減少しているとき、「良」の表示灯の点灯は設定値を含む指示域とするもの.

7 特許請求の範囲第6項に記載の海苔調合液の濃度制御用表示盤において、「良」の表示灯の点灯時にのみ強電回路のリレーが作動するもの.

8 特許請求の範囲第7項に記載の海苔調合液の濃度制御用麦示盤において、リレーの作動は海苔調合液の移送ポンプをON、OFFにするもの。

発明の詳細な説明

本発明は、海苔調合液の濃度制御用表示盤に関するものである.

在来、海苔調合液は、各種調合装置によつて佃煮状に細断した海苔原料に水を加えて調製され、海苔抄き機へ給送されている.しかし、海苔原料と水を調合する作業の度毎に当該海苔調合液に濃淡の調合斑を招き、これが海苔抄き時には厚簿不整な抄き海苔を形成し、これが為、海苔乾燥時には乾燥斑を招き、また海苔剥ぎ時には製品海苔の破損を招来する等の弊害をもたらすものであつた.殊に、これらが調合過程における海苔調合液の濃淡の調合斑に起因する為、当該調合斑を極力防止するに、在来物では熱練者の目視観察による人為的な濃度調整の要が存し、自動化、省力化の要請に反するのみならず、その濃度調整も感覚的なため濃淡の調整度合が調合作業の度毎に異なり、海苔原料に応じた一律の海苔調合液に調製し難いものであつた.

ここで、在来の海苔調合液の調製手段をみるに、細断した海苔原料を分割車、羽根車、回転ギア等の如き桝で計量するようにした回転体にて調合タンク、海苔抄き機の原料タンク等へ給送すると同時に、当該桝機能を有する回転体によつて供給される海苔原料の容量、或いは、当該回転体の供給速度に応じて一定割合の水を供給せしめて前記タンクへ流落し、攪拌調合する調製装置となしている.しかも、海苔調合液の調合斑が前記調製装置における桝機能を有する回転体に掬い取られる海苔原料の量的な変動に依ることに着目し、当該海苔原料の円滑な給送を確保したり、或いは、海苔原料を押込板で桝に押込み圧縮して極力定量の海苔原料を原料タンクへ供給せしめ、これによつて調合斑を極力防止せんとした改良装置が提供され、また、近時には、本件出願人により、原料タンクの底部に横移送用スクリユウフイーダを設け、その回転加圧力を媒介として海苔原料に含まれる余剰水分を水分脱水し、これによつて海苔原料を円滑且つ定量給送せしめる装置等が夫々提供されるに到つている.

然し乍ら、斯る改良装置によつて海苔原料の投入誤差が従前装置に比して仮に小さなものとなし得るも、これを一定割合の水で希釈化して調製した段階では、濃淡の誤差が大きな海苔調合液として調製され、やはり、海苔原料に応じた一律の海苔調合液に調製し難いものであつた.

斯様に、従前の各種装置の多くは、海苔原料の投入容量(体積)を基礎とする桝計量方式を基調とするとの発想を共通なものとしている.その為、これを如何様に改良するも、調合される海苔原料の定量は桝機能を有する回転体に見掛け上充填様にして計量されたが如き域を出ないものであつて、実際上は海苔原藻の採取時期、採取地域、銘柄による海苔原料の硬軟度合、その含水割合、海苔原料は給送状況、その不均等な充填状況、或いは海苔原料の押込力の強弱等による量的な変動要素の影響を、計量様の回転動の度毎に刻々と或いは調合作業の度毎に受け、海苔調合液の調合斑を解消するための抜本的な解決策とはなり得ないものであつた.

また、前記弊害に対応するに、海苔原料と水の調合装置から排出された直後の海苔調合液の濃度を光電感知手段を媒介として検出し、これによつて主に海苔原料の供給量調節機構を制御すべくなした特公昭54-28468号公報、特公昭51-121572号公報、特開昭51-128468号公報、特開昭51-128469号公報、特開昭52-3878号公報、特開昭52-7473号公報等に記載の各種装置によつて、海苔調合液の濃度を極力一定に維持せんとしている.ところが、前記したように海苔原料の定量給送それ自体が困難である上に、海苔原料の供給装置の変動が直ちに海苔原料の給送量の変化に連動し得ないばかりか、調合直後の海苔調合液をその検出対象とする為、応々にして海苔原料と水とが充分に混合されておらず、その為、光電感知手段による濃度検出結果が良好な検出値を指示せず浮動する傾向となる.例えば、全体として海苔原料と水との調合割合が一定であつても、検出結果が頻繁に異常値を示し、その信類性に重大な難点が認められ、ひいては海苔調合液の濃度を安定させることが至難であつた.

斯様な前記諸点に鑑み、海苔調合液の調合斑発生の如何を問わず在来方式等で一旦調合した海苔調合液を攪拌し、水切、脱水自在な計量器を介して循環せしめた後、当該計量器に残存した濃縮海苔の重量を検出し、これにより海苔調合液の濃淡度合を検査し、ひいては、設定値(基準値)に対する海苔調合液の濃度調整を確保すべくなした改良手段が提供されるに到つた.

本発明は、前記発想を更に押し進め、設定値に対する海苔調合液の濃淡度合の調整、即ち濃度制御の自動化や濃度調整作業の省力迅速化等に貢献せんとしたものである.

以下、本発明の実施態様を添付図面に従つて説明する.第1図においてAは細断した海苔原料xと水yを調合する海苔調合機であつて、その一側部に海苔調合液zの給送樋1を付設している.2は海苔調合液zの濃度調整槽であつて、前記給送樋1の流出端部に臨設配置している.3は水源より給水管3aを介して供給される水yを一旦貯溜し、その水圧変動を防止すろ貯水槽、4は貯水槽3の水yを給水管5を介して調整槽2へ供給する給水ポンプであつて、該ポンプに代えて貯水槽3の底部に水没支持した水中ポンプ4aを採用することもできる.6は給水管5の末端に連結した散水管であつて、調整槽2の上部に直線状又は環状に支持し、当該散水管6の散水口から調整槽2へ散水する。7は調整槽2の底部に水没支持したストレーナ、8はストレーナ7に連結した排水ポンプであつて、貯水槽3への返送管9に介設している.当該ポンプ8も前記水中ポンプ4aと同様に、調整槽2に水没支持したストレーナ7付きの水中ポンプ8aを採用することもできる.10は給水管5から分岐し、調整槽2内のストレーナ7と連結した降水管であつて、適所にストレーナ7への降水用切換バルブ10aを介設している。この降水管10、その切換バルブ10aは、ストレーナ7の目詰りを防止するに便宜であるが、その虞れのない場合には不要である.11は調整槽2内に縦軸支した攪拌翼、12は攪拌翼11の回転軸に直結した駆動モータであつて、調整槽2の底部に固定支持している。13は細断した海苔原料xの給送管であつて、海苔調合機Aを使用しない場合に、別途海苔原藻の切断洗滌機(図示せず)において切断洗滌した海苔原料xを直接調整槽2へ供給する.14は調整槽2の一側に付設した透明な海苔調合液zの循環用給送管、15は給送管14に介設した循環用給送ポンプであつて、調整槽2で攪拌調合した海苔調合液zを給送管14をポンプアツプして調整槽2へ循環流入する.Bは給送管14に介設した海苔調合液zの濃度を光電感知する温度検出装置であつて、透明な給送管14の適所に不透明で十文字状の連結管16を嵌挿固定し、その両側枝管部16a、16a内に夫々投光器aと受光器bを対向設置している.17は濃度調整済の海苔調合液zを給送する給送ポンプであつて、調整槽2と海苔抄機Cの原料タンク18を連結する給送管19に介設している.F1は海苔調合機Aの駆動制御用フロートレススイツチ、F2は主として給送ポンプ17の駆動制御用フロートレススイツチであつて、共に調整槽2に付設されている.F3は原料タンク18に付設したフロートレススイツチである.11aは海苔抄機Cの原料タンク18内に縦軸支した攪拌翼、12aは攪拌翼12aの回転軸に直結した駆動モータであつて、原料タンク18の底部に固定支持している.37は海苔抄機Cのシヤツター部39へ海苔調合液zを給送管38を介して給送すろ給送ポンプ、41はシヤツター部39からの海苔調合液zの返送管である.次に、海苔調合液zの濃度調整用制御盤Dの盤面構成を示す第2図において、20は盤面の上部に並設した濃度表示装置であつて、海苔調合液zの濃淡度合を5段階のレベルで表示可能に分離構成しており、その中央部に濃度「良」を表示する青色又は緑色の表示灯20aを、また、その左右両側部に濃度「濃」を表示する黄色の表示灯20bと濃度「淡」を表示する黄色の表示灯20cを、更に、此等の両端部に濃度「濃過」を表示する赤色の表示灯20dと濃度「淡過」を表示する赤色の表示灯20eを夫々配列し、此等の濃淡度合を信号様の発色手段で視覚的に外部観察し得るようにしている.21は海苔調合液zの濃度を3桁程度の数字でデジタル表示するパネルメータであつて、盤面の中央部に配設している.斯様なデジタルタイプのものに代えて濃度設定用の指針と濃度検出用の指針を備えた指針タイプのパネルメータを代替取着することもできる.22はパネルメータ21の濃度設定値を調節するにポテンシヨンメータを操作するタイブの調節ダイアルであつて、パネルメータ21の下部左側部分に設けられ、そのダイヤル22周縁に所要の目盛22aを刻設している.23はパネルメータ21の下部左側部分に設けた上下切換スイツチであつて、その下部側がパネルメータ21によつて濃度の設定値を表示する側23aであつて、ダイヤル22の回転操作によつて適宜調節自在となし、またその上部側がパネルメータ21によつて濃度の現在値を表示する測23bであつて、濃度検出装置B部分の現在濃度、即ち検出濃度を表示する。斯様なタイプのスイツチに代えて、指先にて押圧時に一方の値を示し、解放時に他方の値を示すタイプのスイツチを採用することもできる.24は給水ポンプ4の入力スイツチ、25は排水ポンプ8の入力スイツチ、26は濃度表示装置20における「濃過」、「淡過」の赤色表示灯20d、20eの点灯と連動する警報ブザー、27は警報ブザー26の入力スイツチ、28は手動及び自動制御用の切換スイツチであつて、此等の各スイツチ24、25、27、28類は濃度表示装置20の右側方向へ横―直線上に配設している.

前記制御盤Dの回路線図を示す第3図において、29は安定化電源、30は点灯電源であつて、濃度検出装置Bの投光器a側とラインL1、L2で接続している。31は同じく受光器b側とラインL3、L4で接続した増幅装置、32は調節ダイヤル22とラインL5で、パネルメータ21とラインL6で、増幅装置31とラインL7で夫々接続した増幅装置であつて、前記ラインL5と切換スイツチ23の濃度設定値側23aの端子とをラインL8で、また前記ラインL7と切換スイツチ23の濃度現在値(検出値)側23bの端子とをラインL9で夫々接続している.33は海苔調合液zの現在値のレベル分離回路であつて、増幅装置32とラインL10で接続し、且つ濃度表示装置20の各表示灯20a~20eと夫々ラインL11~L15で、警報ブザー26とラインL16で、また排水ポンプ8のリレー8bとラインL17で夫々接続している.34は比例制御タイマー回路であつて、前記レベル分離回路33とラインL18、L19で、また給水ポンプ4のリレー4bとラインL20で夫々接続している。35は排水ポンプ8の電磁開閉器、36は給水ポンプ4の電磁弁である。前記表示灯20a~20e、警報ブザー26、リレー4b、8b等の他端部は、ラインL21で接続している.

而して、桝計量方式等で給送される海苔原料xに、一定比率の水yを加えて海苔調合機Aで一旦調合した上で、その給送樋1から当該海苔調合液zを調整槽2内へ流入せしめるか、或いは、別途海苔原藻の切断洗滌機(図示せず)において切断洗滌した海苔原料xを、給送管13を介して調整槽2へ給送し、併せて貯水槽3の水yを給水ポンプ4にてポンプアツプし、給水管5、散水管6を介して調整槽2へ供給する。また、調整槽2底部の駆動モータ12を作動せしめて調整槽2内の攪拌翼11を回転させ、貯溜した海苔調合液zを充分に攪拌調合する.

次いで、調整槽2の海苔調合液zが一定量以上貯溜した段階で、循環用給送ポンプ15を駆動せしめて調整槽2の海苔調合液zを、循環用給送管14、当該給水ポンプ15、濃度検出装置Bを下方から上方へポンプアツプし、再び調整槽2内へと流落せしめる.斯様に海苔調合液zを循環せしめると同時に濃度検出装置Bを作用すべく点灯電源30に入力せしめると、濃度検出装置Bの投光器aと受光器bの間を昇流する海苔調合液zの濃淡度合が刻々と変化し、これに対応して濃度表示装置20の各表示灯20a~20eが追随して左右交互に点灯変化する。同時に、パネルメータ21の数値も時々刻々と変化し、グラフ的にはその数値の変動具合が凹凸様の波形を描出表示するように観察される.従つて、先ず、切換スイツチ23を現在値側23bへ切換えた状態で、前記のように時々刻々と変化するパネルメータ21の上下変動幅を読み取り、その変動幅の中間ないしは平均値を、基準となる設定値とする.次いで、この設定値を決めた段階で、切換スイツチ23を設定値側23aへ切換え、調節ダイヤル22を操作してパネルメータ21のデジタル数値を設定値の数値に調節する.この調節操作によつて濃度表示装置20の各表示灯20a~20eのうち、濃度「良」の青色又は緑色の表示灯20aが点灯する.

以上の諸操作を完了した上で濃度調整された海苔調合液z'を、給送ポンプ17の駆動によつて調整槽2から給送管19を介して海苔抄機Cの原料タンク18へ給送し、これを海苔抄機Cの給送ポンプ37によつて給送管38を介してポンプアツプせしめ、海苔抄機Cの頂部原料タンク39へ給送し、海苔抄成作業を行なう.即ち、海苔抄機Cの運転開始に伴つて、海苔調合機A等も連続的に海苔調合液zを自動調合し、且つ調整槽2において攪拌調合し乍ら循環用給送ポンプ15も継続的に作動して次位以降の海苔調合液zをポンプアツプし、併せて濃度検出装置B部分を昇流通過する海苔調合液zの濃淡度合が時々刻々と変化し、やがてその濃淡の誤差が大きなものとなり、基準値に対する誤差の度合によつて濃度表示装置20の各表示灯20a~20eのうちいずれか一つが点灯し、設定値との誤差の度合を目視し、同時にパネルメータ21のデジタル数値を併せて把握し得るようにしている.具体的には、前記濃度表示装置20の各表示灯20a~20eの点灯は、パネルメータ21の設定値を「50.0」(無単位)とした場合に、「49.0~51.0」のメータ指示域で濃度「良」の表示灯20aが点灯し、その近傍のやや濃い付近の「51.1~53.0」のメータ指示域で「濃」の表示灯20bが点灯し、それ以上の「53.1以上」のメータ指示域で「濃過」の表示灯20dが点灯する。同様に濃度「良」の近傍のやや淡い付近の「47.0~48.9」のメータ指示域で「淡過」の表示灯20cが点灯し、それ以下の「48.8以下」のメータ指示域で「淡過」の表示灯20eが点灯する.尚、警報ブザー26は、作業者が持場を離れている場合に備えて、濃度表示装置20における「濃過」、「淡過」の表示灯20d、20eの点灯に連動して報知し、連続的なブザー26の警報時には一旦運転を中止し、その原因を排除した上で再開する.前記した結果、適正濃度の海苔調合液z'に調整され、「良」の表示灯20aが点灯している間、給送ポンプ17が作動し、海苔抄機Cの原料タンク18への給送回路を形成する.また、濃度表示装置20の「濃」、「濃過」の表示灯20b、20dの点灯時には、給水ポンプ4が作動し、これにて散水管6の散水口から水yを調整槽2内へ補給し、同様に「淡」、「淡過」の表示灯20c、20eの点灯時には、排水ポンプ8が作動して調整槽2から水yを排出し、これを再び貯水槽3へ返送するか、或いは直接外部へ排出する.このとき、前記調整槽2への水yの補給又は排出は、「良」の表示灯20aを除く各表示灯20b~20eの点灯に給水用又は排水用の電磁開閉器35、36がON、OFF同調して行なわれるが、これとは別に積分回路を用いて或る時間内の誤差の度合を積算し、その結果とポンプ4、8の作動とを比例制御せしめる手段とすることもできる。その内、第3図では調整槽2への水yの補給が、「濃」、「濃過」の表示灯20b、20dの点灯に給水ポンプ4が応動するに、比例制御タイマー回路34によつて夫々所要時間作動するようにしている.

尚、給水ポンプ4、排水ポンプ8の自動又は手動制御用の強電回路を示す第4図において、切換スイツチ28を自動側28aへ切換え回路を自動にすると、リレーRyが働いてRc1、Rc2が夫々作動し、接点ニとホ、ヌとルが「閉」となる.別の基盤回路の働きによりX1が作動すれば、接点イ~ヘが導通して給水用電磁開閉器36が作動し、これにて給水ポンプ4が駆動する.同様にX2が作動すると、接点ト~オが導通して排水用電磁開閉器35が作動し、これにて排水ポンプ8が駆動する.また、切換スイツチ28を手動側28bへ切換え回路を手動にすると、リレーRyが作動しないので、Rc1、Rc2は作動せず、ヨーターホーヘ、ソーツールーオは夫々導通しているので、ここで切換スイツチ24、25を手動操作すれば、切換スイツチ24によりカーヨ、切換スイツチ25によりレーリが閉路となり、夫々ワーカーヨーターホーヘの導通により給水用電磁開閉器35を、またレーソーツールーオの導通により排水用電磁開閉器36を作動させ、これにて給水ポンプ4、排水ポンプ8が夫々駆動する.

第5図は、濃度検出装置Bを調整槽2内に構成した他の実施例を示すもので、調整槽2の一側壁で攪拌翼11が当接しない部所に、鉤状の筒体40を上下に対向配設し、一方を投光器a側、他方を受光器b側とし、両者の間隙を通過する海苔調合液zの濃淡度合を、第1実施例と同様に光電感知した上で、ポンプ4、8、17を夫々関連作動すべく構成している.

第6図は、濃度検出装置Bを給送ポンプ17と原料タンク18間の給送管19に構成した他の実施例を示すもので、第1実施例と同様に透明な給送管19の適所に不透明で十文字状の連結管19を嵌挿固定し、その両側板管部16a、16b内に夫々投光器aと受光器bを対向して内蔵している。従つて、給送管19を通過する海苔調合液zの濃淡度合を、当該濃度検出装置Bによつて光電感知し、その結果によつて所要のポンプ4、8、17、37を関連作動せしめる.

第7図は、濃度検出装置Bを海苔抄機Cの給送ポンプ37とシヤツター部39間の給送管38に構成した他の実施例を示すもので、第1実施例と同様に透明な給送管38の適所に、不透明で十文字状の連結管16を嵌挿固定し、その両側技管部16a、16b内に夫々投光器aと受光器bを対向して内蔵している.従つて、給送管38を通過する海苔調合液zの濃淡度合を、当該濃度検出装置Bによつて光電感知し、その結果、前記したように濃度表示装置20の「濃」、「濃過」の各表示灯20b、20dの点灯時には給水ポンプ4、4aが作動し、これにより散水管6の散水口から水yを原料タンク14内へ補給し、同様に「淡」、「淡過」の各表示灯20c、20eの点灯時には、排水ポンプ8、8aが作動して原料タンク18から水yを排出し、これを再び貯水槽3へ返送するか、或いは直接外部へ排出する.このとき、前記調整槽2への水yの補給又は排出は、「良」の表示灯20aを除く各表示灯20b~20eの点灯に給水用又は排水用の電磁弁35、36がON、OFF同調して行なわれるが、これとは別に積分回路を用いて或る時間内の誤差の度合を積算し、その結果とポンプ4、8の作動とを比例制御せしめる手段とすることもできる.

本発明は、前記の如き海苔調合液の濃度制御用表示盤としたので、設定値に対する海苔調合液の濃度調整を簡単にし、濃度制御の自動化や濃度調整作業の省力迅速化等に貢献し得る.

図面の簡単な説明

第1図は装置全体の概要図、第2図は濃度制御用表示盤の正面図、第3図は制御盤の回路線図、第4図は強電回路図、第5図と第6図は第1図の第2実施例と第3実施例を示す概要図、第7図は同じく第4実施例を示す概要図である.

符号表、x……海苔原料、y……水、z……海苔調合液、A……海苔調合機、B……濃度検出装置、C……海苔抄機、1……給送樋、2…\\\調整槽、3……貯水槽、4……給水ポンプ、5……給水管、6……散水管、7……ストレーナ、8……排水ポンプ、11……攪拌翼、12……駆動モータ、13……給送管、14……循環用給送管、15……循環用結送ポンプ、16……連結管、17……給送ポンプ、18……原料タンク、19……給送管、20……濃度表示装置、21……パネルメータ、22……調節ダイヤル、23、28……切換スイツチ、24、25、27……入力スイツチ.

第2図

<省略>

第1図

<省略>

第3図

<省略>

第4図

<省略>

第7図

<省略>

第5図

<省略>

第6図

<省略>

イ号物件の図面及び説明

一 名称

海苔濃度調整器B形本体

二 図面の説明

第1図は前記海苔濃度調整器B形本体を組み込んだ戸上式電子自動海苔濃度調整器(TNS-B形)装置全体を示す概要斜視図、第2図は前記海苔濃度調整器B形本体を示す正面図、第3図は同底面図である。

三 構成の説明

まず、TNS-B形の諸構成を組み込んだ装置全体を第1図に基づいて説明する。

1は海苔調合液Zの濃度調整器B形本体、2は水槽3内に設置した給水ポンプ、4は攪拌槽5の側壁に取着固定した給水ノズルであって、攪拌槽5の直上部に張り出し突設している。6は給水ポンプ2と給水ノズル4を連結する給水ホース、7は攪拌槽5内に設置したストレーナー8付き排水ポンプ、9は排水ホースであって、一端を排水ポンプ7の吐出口に連結し、他端を水槽3に臨設させて支持している。

10は攪拌槽5と海苔抄機11の原料液タンクとを連結する給送ホース、12は給送ホース10の中間部に連結したセンサー(検出器)であって、海苔調合液Zの光の透過量を検出する。

13は同じく給送ホース10に介設した給送ポンプである。

14は採取した海苔原藻の切断、洗滌、脱水装置であって、通常、海苔混成機、海苔截浄機、ミンチ機等と称される。

15は切断、洗滌、脱水した切海苔に水を加えて調合する海苔調合機である。

前記のような装置全体において、TNS-B形装置は、「海苔濃度調整器B形本体1、給水ポンプ2、給水ノズル4、給水ホース6、ストレーナー8付き排水ポンプ7、排水ホース9、センサー12」の諸構成からなる。

また、TNS-B形装置における海苔濃度調整器B形本体1の制御盤等の構成を示す第2、3図において、16は盤面の中央上方部に横一連に配設した濃度表示ランプであって、海苔調合液Zの濃度設定値に対する濃淡度合を「濃過」、「濃」、「良」、「薄」、「薄過」の五段階で表示する。

17は盤面の中央上部に配設したデジタル表示器であって、海苔調合液Zの濃度をセンサー12で検出した信号により三桁程度の数字でデジタル表示する。

18は濃度表示切換スイッチであって、上部側へ切換えるとデジタル表示器17により濃度の「現在値」が、また、下部側へ切換えると同じく濃度の「設定値」が表示される。

19はデジタル表示器17の濃度「設定値」を調整するダイヤル式の濃度調整つまみであって、右へ(数字が増す方向)回せば濃く、左へ(数字が減る方向)回せば薄く調整される。

20は電源表示ランプ、21は電源スイッチ、22はポンプスイッチであって、「入」にすると濃度に応じて自動的に給水ポンプ2、排水ポンプ7が作動する。

23はブザースイッチ、24は警報ブザー、25はポンプテストスイッチであって、「給水」を押すと給水ポンプ2が作動し、「排水」を押すと排水ポンプ7が作動する。

26はB形本体1の底部に設けたセンサーコネクターであって、センサー12と結線される。

27は給水ポンプ2と結線される給水コンセント、28は排水ポンプ7と結線される排水コンセントである。

第1図

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第2図

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第3図

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海苔濃度調整器の部品構成一覧

形式TNS-B形

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特許公報

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